2022年度 京都市立芸術大学 作品展 / 22-23 KCUA Annual Exhibition

岡田 茜 Akane Okada 陶磁器専攻

インタビュー場所について

それでは、自己紹介をお願いします。

はい。陶磁器専攻4回の岡田茜です。よろしくお願いします。

お願いします。では、この場所についての記憶を教えてください。

入学してすぐにここに猫がいることを知って、動物が好きなのでよく会いに来てました。制作の合間に。

なるほど。猫ちゃんはいっぱいいるけど、どの猫ちゃんとよく戯れました?

えー…メインでいる2匹…茶色の子と、なんていう名前なんやろ。なんか黒い、黒っぽい子がよくいるから、その時にいる子をわーって触りました。

猫ちゃんで制作の疲れとか悩みを癒やされたり?

そう、なんか制作で結構考えなあかんことが多くて行き詰まってきたら、座って考えているよりも、どっかフラーっと行った方が捗ったりするから。あとはまぁ、現実逃避みたいな(笑)それで遊びに来ていました。

なるほど。この場所で、猫ちゃんの他に思い出はありますか?

イチョウの季節にイチョウの木に葉っぱがいっぱいついていて、真っ黄色になっている時、めっちゃ綺麗やなーって思った記憶があります。

音科の校舎も近いし、聞こえてくる音がめっちゃ綺麗ですね。

めっちゃ聞こえてくる。いつも練習している人とかがいるし、こっちの方は食堂近くとはちょっと雰囲気が違うなって思います。

確かに。この場所以外で行き詰まった時に行く場所はありますか?

最近はあんまり行ってないけど、総基礎の時は中央棟の屋上によく行って、特に何をする訳でもなく座ってぼーっとしてました。重い気持ちがちょっと晴れて、前向きにやれる気がするし。

作品制作について

制作のことを考える時はどういう手順で考えていますか?

私が作品を作るは、ビジュアルがパッと浮かんで、それを作りたい!っていう気持ちが結構大きい。でもやっぱり大学やから、作品をつくる時の色々な考え方のプロセスがある。そういうことを授業では教わるかな。そこが自分の苦手な部分でもあって、陶磁器やったら素材が土やから、なんで土を使ってこれを作るのかとか、 土の使い方とか、素材のこととか、そういうのを結構考えさせられる。だからただビジュアルで浮かんだものを作るんじゃなくて、作品と素材の関係性だったりを考えないといけない。

今の話のように陶磁器専攻は土を触ったり、物に触れて考えていく専攻ですが、自然いっぱいの京芸で毎日制作していることが作品に影響を与えたことはありますか?

朝に学校に来た時とかに自然を感じるタイミングがあって、それが良い。直接作品にしてるかって言ったらそうじゃないけど、日常的に感じていることが(作品に)入ってると思う。

なるほど。来年から移転して制作環境が変わるから、変わってみて初めてこの環境の良さに気づくんかな、とも思いますよね。

そっか。全然違う場所になる。でも、色んなものや人と繋がれそうやなーと思う。そういうのがいいんやろうな。沓掛は、制作をガッてやる場所としてはめちゃめちゃ良い、自然もいっぱいあるし。けど、外からの刺激をもらう時はやっぱ自分でどんどんいかないといけない。ここにいると結構制作だけになっちゃうなぁって思う。

新校舎に行ったら、窯はどうなるのですか?

あんまり分かってないけど、基本は多分持って行くんやと思う。今ある窯を全部。古い窯の中には何個か持って行けへん窯があるけど。

釡を持って行く…。

めっちゃでかいしめっちゃ重い。だからどうやって持って行くんやろう、って。

すごい。ここにあっても仕方ないもんな、窯…。

卒業制作について

ここからは卒業制作の話を聞きたいんですけど、今は制作何をしているのですか?

卒制は、塔みたいなオブジェをずっと作っています。2回生の時から、ろくろで作った形を積み上げていって、それに装飾をするのが好きで。最後やからその方向性でもうちょっとサイズアップして大きいの作ろうかな、と。

なるほど。塔のように積み上げるとか、装飾的にするというのはどこかからインスピレーション受けたんでしょうか?何かきっかけはありますか?

これと言うはっきりしたものはないけど、質感や雰囲気において、遺跡や海底遺跡や遺物にすごく惹かれるものがあって。それと土と釉薬の関係性が自分的にはしっくりきているから、自分の好きな、古びたような風化してるような釉薬を使ってそういうモチーフを用いているのかな。

古びた感じは、元から好きだったのですか?

2回生の作品展の時、頭にパッと思い浮かんだものを、スケッチ描いて、作り始めて、釉薬も自分の感覚的に好きなものを選んだ。その時は何も考えてなくて、本当に好きな質感や好きな色で選んでて、それ(古びたような作品)ができたから自分はそういう雰囲気が好きなんやろうなーって。

なるほど。基礎をする前から、元々陶磁器専攻と決めてたのですか?

最初漆工と陶磁器でめっちゃ迷ってた…。木を使いたいから漆工に行きたかってんけど、やってみると漆は繊細な仕事が多くて、ずーっと同じ作品に向き合って磨いてっていうのが自分の性格に合わなくて。それよりも作っていて形がどんどん変わっていく土や焼いた時に変化して出てくる色に惹かれて陶磁器行きたいなーって思った。多分コツコツしたことが苦手なんやと思う(笑)陶磁器が性格にあってる感じがした。

陶磁器は焼いた後に変化しますよね。制作中に完璧を目指しても理想の完成形にはほとんどならないと思うのですが、どういう心持ちでやってるのかちょっと気になります。

基礎の時はあんまりその感じが分かってなかったから、こういう色になってほしいとか、具体的なイメージがあってやってたけど、それがあるとがっかりすることもあって。もちろんテストも焼くし、自分の求めてる質感や色になるように頑張るけど、今の私は、一番最後の明確な完成形をあんまり考えてないかもしれない。最後出てきたのが正解形という感覚ではいる。そっちの方が色々発見もあって面白いし、思ったのと違った時でもそれを良いと思える。

正解形があんまりないからこそ、さっき言ってたみたいにプロセスが大事というか、実物以外にも考えていることが大事にされるのでしょうか?

作ってるものにもよるかも。私は古びた質感にしたいから、釉薬のムラがあったり完璧じゃなくてもそれが作品の面白さになる。絵付けだとか、透明の釉薬をかけてかっちり綺麗に焼くだとか、そういう作品を作ってる人はこだわって何回もテストしてっていう作り方をしてるな。陶磁器はずっと勉強してても全然分からないことがいっぱいあるし、ほんまに色んなことができる。

では最後に、作品展に向けての意気込みなどあれば。

学生生活が最後やから、作品展は取り敢えず後悔のないように。お世話になった人に見に来てもらうから、大学の4年間でこういうことを学んだよーっていうのを伝えるような作品にできたら良いなと思っています。


インタビュアー:佐々木茜音
カメラマン:佐々木茜音
インタビュー場所:西門の近く

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