インタビュー場所について
ではよろしくお願いします。改めまして自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか。
版画専攻の4回生の宇都宮三帆と申します。
よろしくお願いします。宇都宮さんが今回選ばれた場所について教えてください。
鶏小屋です。2、3回生くらいの時に友達とここら辺を散歩してたんですけど、そしたら友達が、すれ違いざまに両手を広げて鶏を威嚇し始めて。そしたら鶏が一斉にコケーーーーッ!て威嚇してきて。普段こんな静かなのに(笑)それがめちゃくちゃおもろくて、忘れられないんですよね。4年間の中で1番忘れられないです。
(耐え切れず吹く)
(カメラマン:やば…!!)
なるほど。結構静かなんですけどね。ここ。
静かなんですけどね。聞いたことない音量で。
ハッハッハッハッハッハ!!!
そういうことがありました。
それは結構思い出深いですねえ。
一羽とかじゃなくて、一斉に。コケーーーー!って。
さっき話してたような散歩は、どんな時にするんですか?
行き詰まった時ですね。あと何やろうかなって考えてる時。構想の段階は結構歩き回ることが多いです。
なるほど。じゃあこのキャンパス内にあるものから着想を得ることも多いですか?
うん。多いですね。身近なもので制作することが多いので。
なるほど。そのひとつに、鶏も、もしかしたら影響を与えていたかもしれない。
そう。やっぱ生き物って、見ると気持ちが落ち着くよね。
確かに。
動いてるなって。何もしたくない時に見にくる。
確かに。勝手に動いてくれてるとそれだけで和みますね。
ね。
一応鶏は日本画専攻のモチーフなんですが、日本画専攻以外の学生にも意外なところで影響を与えてたんですね。
1年の基礎の時、鶏をモチーフに作品をつくろうと思って、その時に日本画が鶏の描写してたんですよ。だから日本画の教室行って鶏のスケッチさせてもらってたことがある(笑)
めちゃくちゃいい思い出じゃないですか!飛び入りで鶏を描いたんですか。
そう、先生がいなかったから…
あ、なるほど。もぐりで…素敵だと思います。
卒業制作について
じゃあ卒制のことについて聞いてもいいですか?今はどんなものを作ってるんでしょうか。
ここ2年くらいはずっと、制作の関心が「痕跡」「さりげないもの」なんです。痕跡みたいな弱いものを、版画技法っていう、複数枚エディションが取れて、複製できる、一回限りじゃない技法で表現すること、すぐなくなっていっちゃうものを刷ることに関心があって。そのテーマで卒制もやってます。
なるほど。持ってきてもらったやつを見せてもらっても良いですか?
これ、構想かな。構想、考えてることぜんぶ書いちゃう。
絵というよりは幾何学的な図形が多いですね。
そうですね。写真から作品を作ることが多くて、あんまりドローイングをしないんです。だから、紙のサイズに対してどう配置するのかとか、見当はどこに配置するかとかこの位置に着いたらだいたい真ん中に来るやろとかの計算のためにしか使わないって感じです。
なるほど。絵が描いてあるのかと思いましたけど、そういうわけでもないんですね。
絵から制作する事はあんまりないですね。写真とか…これは去年の、鮭の作品を制作していた時期に、構図を考えていた時のものですね。どう入れようかなあとか、木目どうしようとか。
なるほど、木版だと木目のコントロールが必要になってくるんですね。
そうですね。木目から発想して作品を作る人もいますし。木目の流れをどう入れるかとか、けっこう考えることはあります。
じゃあ卒業制作でも木目は出てきてますか?
結構出てきてると思います。
へえ~!たのしみですね…どんな展示になりそうですか?
予定では、大学で個展形式でやらせてもらうので、多めにたくさん作ろうかなと思ってまして。
なるほど!楽しみにしています。ありがとうございました!
インタビュアー:駒井志帆
カメラマン:佐々木茜音
インタビュー場所:鶏小屋の前