2022年度 京都市立芸術大学 作品展 / 22-23 KCUA Annual Exhibition

川崎 李恩 Rion Kawasaki 漆工専攻

インタビュー場所について

では、よろしくお願いします。改めまして自己紹介をお願いしてもよろしいでしょうか。

僕は美術学部工芸科の漆工専攻にいます、川崎李恩です。

川崎さん、よろしくお願いします。では今回選んでいただいた場所について教えていただけますか?

僕が選んだのは東ピロティにある資材集積場です。専攻の都合上、漆工棟からも近いですし、一番最初の総合基礎実技の時も予算なしでやるみたいなやつで、そのときここに漁りに来て。その時、ここにいろんな人がいろんなものを捨てに来てるって気づいてからはわりと、よく通うようになりました。いろんなものが捨てられてて、僕が木工だっていうのもあるんですけど、木工に入る前から木が扱いやすいのもあってよく木は触っていて。まだ使えるのにもったいないなってやつは回収して使ったりするので、よく来る場所ですね。

なるほど。じゃあ今までの作品にもよく使ってたりしますか?

実際の作品に使うというよりかは、本制作の前段階の試作で使うことが多いですね。試作するための木を買うのも大変なので、色とか厚みとかが合うやつを多少強引に使ってます。テストでダメだったらまたここに戻せばいいだけなので(笑)

なるほど。じゃあ、あんまり本番では使わないですか?

そうですね…でも今回の卒業制作ではここでの廃材をよく使ってて。ここだったら気軽に手に入るし。

卒業制作について

なるほどです。ちなみに卒業制作のことについて聞いてもいいですか?どんなものを作っておられるんでしょうか。

はい。僕は今、母校の高校のミニチュアを作ってます。僕は銅蛇美術工芸高校出身なんですけど、そこが京芸の移転に伴って移転するんです。旧校舎はもとは小学校だった古い木造の校舎で、歩いたら床がギシギシなるような。僕はそこがけっこう好きだったんで、たぶん取り壊しではなくて何かに転用されるとは思うんですけど、気軽に立ち入れなくなるかもしれないので、本物の木で残しておきたいなと思ったんです。

なるほど。そんな制作で、ここで拾ったような廃材を使用しているというのは、何か意図したところがあったりしますか?

僕もコンセプト結構迷って。完全再現にするのか、自分のイメージの具現化にするのか。結果としては、学校は場合によっては文化遺産とかになることもありますけど、基本的には生徒が使うための施設で、わりと乱暴につかってもいいような、なにかぶつけても、椅子を引いた痕が残っても別にいい、みたいな場所だと思っていて。そういう痕とかが後々思い出になって、卒業生とかが来た時に懐かしさを感じられたりしますよね。そういったものを作ろうとしたとき、新品のきれいな木材を使うっていうよりかは、どちらかというと丈夫に作って。そういう意味を込めて、高い木じゃなく、みんなが使った余りとかを使おうと思いました。

じゃあこの卒業制作の制作期間中も、何度もここに来てますか?

そうですね。制作が佳境になるにつれ、みんなが良い材を捨てていくので(笑)今後も。僕の場合は主に木を使うために拾いに来ますけど、そのほかの機材捨て場にも面白いものがあったりします。(複合ゴミ捨て場のコンテナを見て)僕は電子工作も好きで、こういう捨てられた家電とか見ると、中の小さな部品を取るために覗いたりしちゃいます。ものが壊れるときって、だいたいその商品のいちばん弱い部分が壊れて、でもその部品が壊れただけで機械全体が動かなくなったりするんですよね。で、わりと中身に貴重なものがあるんです。パーツ単位で買ったら高いものとかもあったりするんですよね。だからこっちのコンテナにも用事があります。

たとえば芸祭後とか、制作展後とかにはお宝がたくさんありますよね。

そうですね!大きい板とかそのまま捨ててあったりして。ネジも付いたままとかね。今合板も値上がりしてるから、先生と一緒にここのコンテナ根こそぎ持ち帰ったりとかしました(笑)ここは宝庫ですね。

そうですね、ここから色んな作品が生まれていってますもんね。ではまた制作の期間にここに通うんですね。

そうですね。うえからガサガサしてるのは、たぶん僕です(笑)

なるほど(笑)展示、楽しみにしています!ありがとうございました!


インタビュー:駒井志帆
カメラマン:駒井志帆
インタビュー場所:資材コーナー

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